本作製作に於いて包括的な情報集約を行うホワイトボードシートを部屋の壁に貼る。
こうして写真で見るとただの白と灰色のグラデーションである。
しかし、ここに至るまではしわくちゃのぐちゃぐちゃだった時期があり、その時はもう買いなおしだろうと思っていた。
こういうシートものを貼る鉄則として、接着前の段階で左右からシートにテンションを掛けて空中でピンと張らねばならないのだが、なにしろ部屋がぐちゃぐちゃ状態なのでシートが貼られる予定個所の両端ともモノを最後までどけることができず、モノと壁の間に手を突っ込んで貼るようになることを承知の上で決行したのが当然に災いして丸めて広げた新聞紙のような有様で壁にべったり付いてしまった。
まるで巨大なスマフォシートを扱っている気分だ。しかもこのシートはペラペラの上にものすごい粘着性が強いのだ。
作品の失敗をすでに暗示するかのような出来事に絶望と怒りが込みあがる。
何度も剥がすと再接着しないと説明書には警告があったが、しわくちゃの面に何を書いても情けないだけなので半分だけ全部剥がして貼りなおしたらうまくいった。(矛盾した表現だが、完全に半分捲ったと考えてください)これに気を取り直し、もう半分も同じようにしてやりなおしたのが前掲の写真というわけである。
時間がたつと剥がれてくる心配が貼りなおした以上はついてまわるが、その前に完成するよう頑張りたい。
とりあえず明日からはアイディアをプロットに盛り込み、それで判明した足りない部分のアイディアをさらに絞りだす作業を繰り返していきたいと思う。
それにしてもこの前わずか十六ページを死ぬ思いで描いた人間が百六十ページのストーリーを構成するというのはタイヤ公園の恐竜から冬のアイガー北壁にいきなり取り付くようなものだなと、眼前に立ちふさがる巨大な白い壁を前に思う。