夜中にたびたび目が覚めるようになった。
ずっと軽い地震が頻発していてそれで起きてしまうのだろうと思っていたのだが、下の階の騒音であることが分かった。
より正確に言えば、音というよりも建物の筐体をガンガンと伝わってくる衝撃に近い。
部屋の中で何者かが疾走したり、叫んだり、それが深夜の三時頃から明け方にかけて行われるのだ。
数ヶ月前からマンションの掲示板やエレベーターに「騒音と奇声に関する注意」という貼り紙があって、最初は自分のことかとびびっていたのだが実は自分の下の階だったというわけだ。
僕は若い頃に引っ越しを繰り返していて、その原因は数ヶ月から数年住むと必ず何か嫌な事が起きていたからだが、なぜそんなに嫌な事がどこにいっても起きるのかというと家賃をけちって安いところに住もうとしていたからだということに気がついた。
それで、自分の給料からすると割に負担の大きい今の物件を選んだところ、ピタリと嫌な出来事がなくなって天国のような住み心地だったのだが、十年目くらいの今、残念ながら、こういう問題に遭遇してしまった。
普通なら管理会社を通じて注意というところなのだろうが、僕より先に困っていた人がたれ込みをすでに入れているのと、そのマンションアスリート氏がより凶暴化するリスクを考えると、この辺で久々の転居を行った方が良さそうである。
よって、これから物件を物色し始める。