本論に入る前に自分の事など。
私は産まれつき脳にある種の傾向がある可能性が高く、自分自身の普段の行動に悩まされていた。
会社員になって一番困ったのは営業車(トラックやトレーラーヘッドではない普通の自動車)の運転とエクセルだった。
車に関しては普通自動車(今でいう中型)免許を学生時代に取得していたし、エクセルに関しては早くからVBAで定型の処理を行っていた。
しかし、この二つは全く自分にとっての敵でしかなかった。
運転については後述するとして、エクセルの問題について強引に例えると、定期的に組み変わる内容の羅列する十個の数字を計算するために
public static void main(String[] args) {
int i[ ] ={8,7,4,5,1,0,6,9,8,4,6};
int v=0;
for (int k=0 ;k<10;k++){
v=v+i[k];
}
System.out.println(v);
}
という式が課内に用意されていて、この式を他のメンバーと共有しつつ必要に応じて必要な個所を計算の都度書き換えるルールになっているとする。
正気の沙汰じゃないだろう。
でもエクセルってこうじゃない?
データと計算が分離されてなくて、データの数の増減に応じて計算式を変更しなければならなく、しかも実際のエクセルではいやらしいことに画面操作で間を飛ばして計算できたりするが、表面上飛ばされた箇所はわからない。
ちなみに、実はこの例では命題より一つ多く数値があって、都合十一個入っているので計算の係になった人はk<10をk<11に変えなければ「間違えた」結果が静かに表示される。
僕はこれまでこうした静かな計算式の相違で、何度も何度も請求書を間違えて何度も何度も怒られて何度も何度も頭をさげてお客さんに出しなおした請求書を差し替えをしてもらった。
他にもファイルの上書き間違い問題とか、別名保存有効ファイル迷子問題とか、シートの再計算指定がいつも間にか無効になっている問題とか、単独シートに入力のつもりが複数シートを指定中問題など、ありとあらゆる再現性のない(というか計算のたびに何が起こるかわからない)問題に悩まされてきた。
本当に不思議なことに他にこういう問題で悩んだり失敗する人は全くいなかった。
そして僕にとって車の運転というものは、こういう静かな間違い操作の結果が自他の生死を冗談ではなく本当に一瞬で決してしまうものであった。
が、普通の人はそういう間違いから事故を起こしたりしない。
そんなわけで、僕は自分の脳みそのおかげで禄でもない人生しか歩めなかったわけだが、今日はある出来事があって、人生の重要なパーツについて実に三十年以上の遅れを経て、普通の人というものがどういう過程でそれを組み立てているかという事をごくうっすらではあるが、初めて、初めて、やっと、やっと、わかった。
バンザイ。
人間には三種類しかない、男と女とXXXだ。